メルボルン大学に留学して-オーストラリア大学院留学記

私は1993年から1995年にかけてオーストラリアのメルボルン大学・大学院に留学していました。オーストラリア留学中に書いた文章や、撮った写真をまとめたのがこのコーナーです。エッセイはまずニューズレターとして紙で発行し、さらにメルマガとして発行していたものに手を入れたものです。

当サイトはオーストラリア留学のガイドではなく、オーストラリア留学中に出会ったこと、考えたことを綴ったエッセイ集ですのでそのつもりでお読みください。

Image by Chat GPT

私がオーストラリアの大学院に留学したのは35歳の時。日本ならばいささか遅い大学院入学と思われるかもしれません。しかし、メルボルン大学を始めとするオーストラリアではこれが普通でした。私の入ったのは農林学部でしたが、大学院で一緒になった学生で、学部生から直接大学院に入学したのはただ一人。あとはすべて社会人経験者で、働きながらのパートタイム大学院生も数多くいました。

またオーストラリアでは大学院への留学の審査にも、社会人経験は大きな要素として捉えられているようです。どうやら自分の仕事と、大学院で勉強したいことがどのようにリンクできているか、という点が審査されているように思います。日本の大学院なら、大学からストレートで、というケースが多いですが、それだと修士課程以上の試験にはなかなか合格できないのがメルボルン大学でした。

メルボルン大学留学を決めた理由

実を言うと私はメルボルン大学以外に、キャンベラにあるオーストラリア国立大学(ANU)からも入学OKを貰っていました。メルボルン大学に行くことに決めた理由は二つありました。

メルボルン大学のコース設定

一つは、メルボルン大学のコースの内容が自分には合っていると思ったこと。

メルボルン大学で私が申し込んだコースは、1年目は授業やレポート書きを中心にしたPostgraduate Diplomaという学位で、2年目には論文を書いて修士を目指す、という構成でした。1年目で一定以上の成績を収めないと2年目の修士課程に進めない、というなかなか厳しいコースです。他方のオーストラリア国立大学は、2年間リサーチを行って論文を提出するという修士課程のみでした。

私は大学を出てからかなり歳月を経ていましたし、一度コースワークを選択してしごかれる方が基礎力が付いて良いと考えていましたから、いきなりリサーチに入ることができないメルボルン大学の方が向いていると思ったのです。

オーストラリア人がメルボルン大学留学を推薦

またもう一つ、決め手になったのは、留学準備のために日本で英語のレッスンを受けていた時のこと。オーストラリア人の先生に「キャンベラかメルボルンのどちらかに行こうと思っている」と話したところ、「それはメルボルンに決まっている。キャンベラは人が暮らすところではない。」という反応が返ってきたからです。

キャンベラは首都として作られた人工的な街で、歴史や文化に乏しく、暮らしていておもしろくない、というのがその先生の意見でした。こんなことを書くとキャンベラの人たちは怒るでしょうけれども、メルボルンと比べたら確かにそのとおりだろうと思います。

このコーナーではオーストラリアへ留学して学び、メルボルンに暮らしたときのエッセイを中心に構成していますが、準備ができたら旅行で訪ねたところの話も書いていきたいと思っています。

メルボルン大学は日本で言うと

オーストラリアの大学は欧米の大学ほど日本人になじみはありません。メルボルン大学は日本で言うと、東大や京大のようなトップクラスの大学に該当します。国際的な大学ランキングでは、東大よりも上位になることもあるくらいです。オーストラリアの大学のランクについてはここを参照してください。

ただし、大学ランキングは各大学の総合力を示すものです。受験の難しさを示すものではありません。

特に大学院ではそれが顕著です。メルボルン大学をはじめとするオーストラリアの大学(欧米の大学院も共通ですが)では、日本と違い入試というものはまずありません。あるのは、リサーチプロポーザルは履歴の審査です。要は大学院レベルになると「研究できるかどうか」が審査のポイントなのです。テストで何点取れるか、ではないわけですね。

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