砂上の農場

 1994年はオーストラリアの小麦が不作で、日本向けの輸出ができず、アメリカにマーケットを奪われてしまうとオーストラリアの業界では嘆いています。それどころか飼料用の小麦が国内需要にも満たないそうで、数十年ぶりかで小麦を輸入するそうです。クィーンズランド等はもう数年続きの干ばつに見舞われているし(エル・ニーニョの影響だそうです)、オーストラリアの農業も意外にもろいのかもしれません。

 このころあるレストラン・チェーンが、クリスマス向けの牛肉を干ばつのためオーストラリア国内で調達が難しく、アメリカから輸入すると発表しました。これに対する一部からの批判はすさまじく、「オーストラリア産の肉を使わないならポイコット運動を起こす」と脅し、結局このレストラン・チェーンは発表を撤回しました。これが常々貿易の自由化を迫っている国の実態でもあります。

 何度も書いているように、オーストラリアの農業は相当環境を破壊してしまいましたが、生産力にも翳りが見えるようで、さかんにマネージメント方法や農業生産システムの変換が叫ばれています。また過度の潅漑が河川の流量を減らし、また逆に農地から流れ込む富栄養の水が、有毒な藻の繁殖を引き起こし、大きな問題になっています。