ユーカリの生態・山火事への適応
オーストラリアでは人間が住むようになるはるか以前から(アポリジニーは4~ 12万年前に来たと言われている)乾燥化が進み、落雷等による山火事が夏に頻発するようになりました。ユーカリは山火事というこの厳しい環境に耐えるために独特の進化を遂げました。そしてそれは樹種によって 2グループに別れます。ちょっと専門的な話になってしまいますがご容赦を。
山火事に耐えるユーカリ
第一は「耐える」事によって生延びる類で、おしんユーカリと呼ばれています(ウソ)。
まず樹皮が厚くなり、外側が焦げても簡単には死なないようになっています。通常の芽は鱗片等で守られておらず簡単にダメージを受けますが、これがやられるとすぐ脇に隠してある?accessory bud と呼ばれる普段は何もしていない予備の芽が成長を始めます。
これがやられても今度は幹から直接 epicomic shootと 呼ばれる枝を発生します。幹が死んでも根際から萌芽する事ができます。木が死んでも土の中で光があたるのを待っていた ligno-tuber という地下茎に似た組織が成長を始め、また枝についていた種も実(これも厚い殻で守られている)が熱によって乾燥する事によって一時にまかれ、成長を始めます。
山火事で生まれ変わるユーカリ
第二は「死ぬ」事によって生まれ変わる宗教的な?類です。
このグループは山地等比較的雨が多い地域に分布しています。樹皮が薄く簡単に火で死んでしまいます。また乾燥した樹皮が枝から垂れ下がり、火が樹冠に登りやすくなっています。この類は他のユーカリと違って幹が死ぬと根元から新しい芽を出して再生することができません。また ligno-tuber を形成する事もできません。光が不足すると若木は簡単に枯れてしまいます。
そこで必用なのが火事です。火が入るとユーカリ自身が油を含んでいますし、大規模の山火事になりやすく、森林全体が簡単に死んでしまいます。そうすると林床に光が入り、また灰が溜り種子には発芽に絶好の条件になります。また火事の後には自然乾燥を待っていては何年もかかる種子の自然散布が一斉に起こります。発芽した若木は非常に成長が速く他の木や草に覆われる前に上層を形成します。こうしてできた林は木の大きさがそろっていてまるで日本の杉林のようです。
もし火事が無いと、光が無いと成長できないユーカリ林は次第に他の耐陰性の高い木に取って代わられて消滅してしまいます。このためユーカリ林は fire climax forests と呼ばれています。