昔々、世の中にGoogle Mapsが存在しなかった頃、Melway Mapがあったとさ。
メルボルンには Melway Map と通称で呼ばれる市街図があります。正式名称は Melway Greater Melbourne Street Directory。かなり厚い地図帳ですが、前の部分がメルボルンとその周辺のカラー地図。後半が地名の索引になっています。
この地図の説明をする前に、オーストラリアの住所表示のしかたを説明しましょう。例えば私のアパートは212 The Avenue,Parkville, Victoria 3052。後ろから見ると 3052 が郵便番号。Victoria が州。Parkville が市あるいは区にあたります。The Avenue が通りの名前で、そこの 212 番地というわけです。
欧米の多くの国と同じように通りに沿って番号がつけられています。日本のわかりにくい住所表示(土地の区画に名前や番号が付いている)とは違います。道の片側がすべて奇数で、反対側には偶数がふられています。片側に公園などがあると番号が跳びます。ですから、100番の正面に101番があるとは限りません。それどころか The Avenueは片側がずっと公園です。この場合、最初から偶数しかありません。基本的にすぐわかるように番号が付けられているわけです。
メルボルンではレストランに電話で店の所在を尋ねても、住所を教えてくれるだけ。どこの通りを右に曲がって角のタバコ屋から三軒目、などとは教えてくれません。つまり誰でもどこにでも売っている street directory と呼ばれる地図を一冊手にすれば、索引で簡単に場所がわかるという寸法です。
日本でも住宅地図(大きくて高価)がありますが、通常家庭にはないでしょう。これに対してオーストラリアでは、シンプルな住所表示法のため、street directoryを誰もが手にしています。多分、一家に一冊はあるのではないかと思われるくらい普及しています。筆者も最初はコンパクトで一番安いポケット版の street directory を買って、アパート探しなどに使っていました。その後も見知らぬ地区に出かける時などにはデイパックに入れて歩き重宝しました。当初はこれさえあれば二年間は大丈夫だ、と思っていました。しかし、結局は大きな Melway Map も買ってしまいました。
Melway はstreet directory の中でもスタンダードと言えます。電話帳くらいの大きさがあり、3千円くらいします。なぜこれを買ったかと言うと、いろいろなガイドブック(日帰りハイキングの本とか、野鳥ガイドとか)に常に、Melway 56 3G といった表示が出ているからです。これはつまり Melway の地図ナンバー 56 の3のGを見よ、という意味です。
Melway は確かにメルボルンのかなり郊外までをカバーしています。さらにカラーで見易く、またバスや市電のルートも描きこまれている優れものです。公園などには管理しているところの連絡先まで表示してあります。ページをめくっているだけでも「こんなところにこんなものがある!」という驚きでいっぱい。長期滞在者には必需品と言えます。でもハイキングに持っていくには電話帳サイズはいささか重過ぎるようですが。